「『源氏物語』「若菜下」巻の「女楽」」

2019年11月9日(土)に鹿児島国際大学で開催された、「『源氏物語』「若菜下」巻の「女楽」」(鹿児島国際大学文化学部主催講演会)に参加してきました。

ゲスト講師は源氏物語の第一人者でフェリス女学院大学名誉教授の三田村雅子氏。そして、学生時代の恩師、作曲の久保禎教授の「女楽」の作品紹介もあるとのことで、楽しみにしていた講演会でした。

公演の前半では三田村雅子氏の解説のもと、「女楽」について理解を深めました。後半部分は久保禎教授の「女楽」の作品紹介。

若菜下「女楽」とは?

光源氏41歳三月から47歳十二月までの話。
それから4年の年月が経ち、冷泉帝から今上帝へ時代は移る。明石の女御腹の第一皇子が東宮に立った。
翌年の朱雀院の五十の賀に向け、源氏は女三宮に琴を教える。年が明け正月に六条院で華やかな女楽が催され、女三宮、紫の上、明石の女御、明石の御方が揃って見事な演奏を披露したが、その晩に37歳の厄年だった紫の上が突然倒れる。病状は好転せず、源氏は紫の上と共に二条院に移って看病に付き添った。
一方、柏木は女三宮の姉女二宮(落葉の宮)と結婚するが満足できず、源氏が紫の上につきっきりで手薄になっていた隙をついて、乳母子の小侍従の手引きで女三宮と密通した。その直後、紫の上が一度は絶命したがかろうじて蘇生、その際に六条御息所の死霊が現れて源氏を戦慄させた。後日、源氏は御息所の死霊を供養するため、紫の上に正式ではないものの在家で戒を受けさせた。
後日、女三宮が懐妊。紫の上の病状も小康状態になった夏の末頃、見舞いにやって来た源氏は偶然柏木からの恋文を見つけ、事の真相に気付く。柏木もそのことを知らされ罪におののき、さらに六条院で行われた試楽の際、源氏に痛烈な皮肉を言われて病に臥した。柏木の容態が「枕も上がらないほどの重態だ」と使いの者から知らされた、致仕の大臣と北の方は驚愕し、すぐさま実家に引き取る事を決断。実家で療養する事になり、女二宮と一条御息所に涙ながらに謝罪し、一条の屋敷を後にした。
朱雀院の五十の賀は、暮れも押し迫った十二月の二十五日に行われた。
https://ja.wikipedia.org/wiki/若菜_(源氏物語)より

まずは調性。
日本音名、壱越調。つまり、西洋的には「レ」、ニ短調、Dのキー短音階。

「御琴どものしらべどもととのひはてて」=調弦(チューニング)と呼応した、
1、音取り

「琵琶はすぐれて上手めき、神さびたる手づかひ、澄みはてておもしろく聞ゆ」を薩摩琵琶で表現した
2、明石の御方 独創

「和琴に・・・なつかしく愛敬づきたる御爪音に、掻き返したる音のめづらしくいまめきて、さらに、・・・」を現代的に表現した
3、紫の上 独奏

若い二人をさわやかに表現した
4、女御の君と女三の宮 重奏

明石の御方と紫の上の内面的な激しいやり取りを表現した
5、合奏

原文を元にしながらも独創的に作曲された「女楽」。
意思のある力強さと、原文と現代音楽の奥行き感が魅力的な音楽だと感じました!

作曲者ご本人から、作曲の解説を聴くことが出来て、文学と音楽の質の高いコラボレーションが豪華で贅沢な時間でした。
私は、作曲者から制作秘話を聴くのが大好きです!

総合大学なので、他の科とこのような講演会が企画されることが面白い試みだと思います。
作品は、こちらのYoutubeで聴くことができます。

紫の上の執念、多重的に重なる登場人物の心情、全体に広がる光と影。
源氏物語に興味が湧き、全文を読んでみたいと思います。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!